*+.君のすぐ傍.+*

10/10
前へ
/430ページ
次へ
「そうですね、そのうち連絡来ますよね」 笑う義貴先輩に、私も微かに笑って応えた。 「そうよ!そのうち、ひょっこり現れてくるわ」 椿も冷静にジュースを飲みながら、私を慰めてくれる。 ひょっこりって、彰弥くんをペットか何かと勘違いしてるんだろうか。 まぁ、深い意味は無いんだろうけど。 「まぁ、あれだ。とりあえず元気出せ。お前がそんな顔してたら、持ち前の変顔が栄えないぞ」 「え?貶されてます?慰められてたのかと思ってた」 てっきりみんな慰めモードに入ってくれてるのかと思ってたよ。 でも、彰弥くんがどこに行ったのかそれだけでも分かれば、この心のど真ん中でグルグルしてる感じも落ち着くのかな…? 不安に思っていたことがバレたのか、二人は満面の笑みでもなく、顔が歪むほどに悲しそうな顔をするわけでもなく、私を見て…何とも言えないような微かな笑みをしている。 何か落ち着かない空気になってしまった。 あ、私がそんな空気にしてるのか…。 黙り込むとしかめっ面になっちゃうからなぁ。 目の前の椿と義貴先輩は、私の幸せな話を聞きたかったに違いない。 こんなコメントに困るような空気にされるとは思ってもみなかったんだろうね。 っていうか、義貴先輩に今元気出せって言われたばかりなのに、すぐ元気無くしてどうする!! よし!元気出そう!元気出せ!自分! 「大丈夫大丈夫!椿の言った通り、そのうち現れてくるから大丈夫だよね! 全然心配してないよ!」 「そうだ!その意気だ!」 「そうよそうよ!大丈夫!」 この時、私たちは気持ちを団結させてそう言った。 それに彰弥くんは急用ができたから理由も説明する時間が無かっただけ。 彰弥くんの方が落ち着いたら、連絡くれるはず。 そう思って、呑気でいようと思った。 でも、その日から…三か月経っても彰弥くんからの連絡は来なかった。  
/430ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2795人が本棚に入れています
本棚に追加