*+。会いたい。+*

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「まあ、いいけど」 望月さんは外に出て、軽く息を吸った。 さっきまで私が吐いた嘔吐物の臭いを嗅がせていたかと思うと、申し訳ない。 「…も、望月さん…、あの…ありがとうございます…。ここまでご面倒をかけてしまい…」 頭を下げて謝ると、私の頭にちょこんと何かが乗っかった。 少し頭を上げると、望月さんの手が私の頭に乗っており、何かを持っている。 「確かにな。ほら、口周り拭いておけ」 ハンカチだ。 望月さんからハンカチを渡され、私は遠慮がちに口周りを拭かせてもらった。 「ありがとうございます…。洗って返します」 「いいよ、あんたにやるわ。知り合いからもらったんだけど、俺ハンカチなんて使う柄じゃねーし」 「で、でも…貰い物だったら、他の人にあげるなんて…くれた人に申し訳ないんじゃないですか?」 「…んー、分かんねー。どうでもいいや。それより、沢木とかと離れたな…。電話するか」 ケータイを取り出し、器用にケータイのボタンを押し、耳に押し当てる。 「…あー、沢木?俺だけど、はぐれた。お前ら、今どこにいるの?うん…うん…ふーん、うん、分かった…へー…あーちょっと待って」 望月さんはケータイで何か色々と話しており、急に私の方を向いた。 「?」 「沢木たち、これから二次会行くんだって。あんたは行く?」 二次会……私が一番苦手とする会場だ。 一次会は居酒屋で飲んで食ってをすればいいけど、二次会はカラオケなどが待ち構えているからね…。 面倒くさいし…。 「…行きません」 「あ、そ」 望月さんは淡白に私に言葉を返し、またケータイに向かって話しかけた。  
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