*+.番外編 まっさらな憂鬱.+*

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--亜紀Side-- 今日は絶対頭に入らないわ。 友達と勉強をする約束しているのに…。 あぁ!もう!晋太郎さんのせいよ! ソファの上にあるクッションをバフッと勢いよく叩いた。 弾力のあるクッションは、私の拳なんか軽々と跳ねかえしてくれる。 「今日も…素敵だったわ…」 叩いたクッションをギュッと抱きしめ、呟くと 「何が素敵だったんですかぁ?」 麻紀の声がした。 「きゃあ! …なっ…!いるんだったら、いるって言ってよ。ビックリするじゃない!」 麻紀を睨みながら言うと、麻紀はにやにやと唇の両端を上げていた。 「亜紀ちゃんは、なんだかんだ言って幸せそうですねぇ」 「…どういう意味よ? もう。そんな風に人のことからかうんだったら、麻紀には勉強教えてあげないわよ」 「えぇぇ!!こまりますぅ! 亜紀ちゃんだけが頼りなのにぃ!!」 涙目になりながら私に懇願してくる麻紀に「えぇ、どうしようかしら」なんて意地悪いことを言ってみる。 たまには、麻紀にも甘え慣れちゃ駄目ってことを教えないとね。 「じゃあ、いいです。麻紀は、晋太郎さんに教えてもらいますからぁ。 亜紀ちゃんは頭が良いから晋太郎さんに教えてもらわなくてもいいですもんねぇ」 私から離れ、腕組みしながら笑う麻紀に悪意を感じた。 「なっ…!」 口を開け、言葉に迷っている私。 ガチャリっと、タイミング悪く開く扉。 「あ!晋太郎さんじゃないですか!さっき様子がおかしかったけど、もう大丈夫なんですかぁ?」 扉を開けて、リビングに入ってきたのは晋太郎さんで…。 「えぇ、もう大丈夫です。お気遣いありがとうございます」 晋太郎さんは、私の方をチラッと見た。 そして目が合ったのに…すぐに目を逸らされてしまった。 …少し…いえ、かなり凹むわ…。 「晋太郎さん、急なんですけどぉ麻紀に勉強を教えて欲しいですぅ」 「え?ですが、俺なんかが…」 そう言って、チラッと私をまた見る晋太郎さん。 なんだか照れくさくて、鋭く晋太郎さんを見つめ返した。 少し肩を揺らして目を逸らす晋太郎さん…。 あれ?今、睨んだと思われたのかしら…? 「だって、亜紀ちゃん教えてくれないって言うからぁ…。冷たいです亜紀ちゃん…」 そう言って泣いたふりをする麻紀。 くぅ…!いっつもそうやって…!!  
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