*+.番外編 まっさらな憂鬱.+*

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晋太郎さんの視線が痛い。絶対私…嫌な女だと思われたわ。 もう…麻紀のおねだりの方法って、こういうのばっかりだから嫌なのよね…。 まさか晋太郎さんの前でそんなこと言うなんて……さっきの私の勇気が…今となっては無駄みたいなもの…。 晋太郎さんに嫌われたら、どうしよう…。 「亜紀お嬢様、その…麻紀お嬢様にも教えて差し上げたらどうでしょうか? 俺が教えて差し上げるのも…少し気が引けますので…。 いろいろお忙しいというのも分かりますが…」 晋太郎さんが申し訳なさそうに、遠慮がちに笑って私に言う。 それがどうにも…私は気に食わなくて…。本当に私が意地悪みたいで…。 嫌になった。 「そ、そんなの分かってるわよ!!もともと教えるつもりだったわ! 勝手に勘違いして、言ったりしないで…!!」 私が悪いみたいに、言わないで…! つい感情が昂ぶって、怒鳴ってしまう。 目頭が熱くなる。 頬には涙がつたってる。 この気持ちを抑えられなくて、私は泣きながらリビングから飛び出した。 扉を勢いよく閉めたけど…それじゃあ更に感じが悪くなる。 私って、何をやっても悪循環みたい。 一回頑張っても、十回嫌なことが起きる。 今日は本当にそんな日。 好きって言ってもらえて、私も言った。 けど、あの私の≪好き≫もさっきのことで全部マイナスに働くわ…。 「もう…」 今日は…本当に勉強が頭に入らなさそうね。 麻紀の部屋に書置きをして、先に図書館に出掛けた。  
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