*+.番外編 まっさらな憂鬱.+*

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図書館に着くと、友達がもうすでに入り口で待っていた。 …家から少し遠い場所の図書館だったけど、ムカムカしてたから気を静めるために歩いてきた。 のだけれど、 「なにムッとしてるの?」 そう簡単に気は静まらないみたい。 会った瞬間、友達にすぐさま指摘されてしまった。 「別にムッとなんかしていないわ。 来る途中、面白くなかったことが起きただけよ」 まったく麻紀ったら、本当いらないことばかり言うんだから。 「あ!また麻紀ちゃんのこと?」 友達、恭子ちゃんは勘が鋭い。 「………」 「また使用人さん取られたんだ? 麻紀ちゃんって、小悪魔っぽいもんねぇ」 そして私が晋太郎さんを好きだということを知っている。 私の晋太郎さんを見てる時の顔があまりにも分かりやすかったみたい。 そんなに見てるつもりもないのだけれど…。 「いいから勉強しましょう。課題早く終わらせないと、また教授に怒られるわよ」 「えぇ?亜紀ちゃんと使用人さんの話聞きたいのにぃー!」 キラキラとした瞳で私を見ている恭子ちゃんの背中を無理矢理押して、館内に入る。 そして、人が少ない席に座り、課題に没頭することにした。 こうなったら、あの二人が私の頭の中から出ていくまで勉強してやるんだから! 意気込んで黙々と課題と勉強をしていること、数時間--。 「亜紀ちゃん…!亜紀ちゃんったら…!」 小声で呼ばれ、「なに?」と少しだけ疲れた目を恭子ちゃんに向けた。 「あたし、もう帰るね。お母さんに用事頼まれてるからさ」 「そう。気を付けて帰ってね」 「亜紀ちゃんは、何時までいるの?」 そう恭子ちゃんに聞かれ、時計に目をやると…夕方の6時を指していた。 「…うーん、私ももう少しで帰るわ」 「そっ、じゃあ亜紀ちゃんまたね」 恭子ちゃんは小さく手を振り、帰って行った。 図書館内を見渡すと、利用者は数人しか残って居なかった。 …後、もう少しだけ。  
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