*+。会いたい。+*

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「あー、行かねーって。え?俺?俺も行かない。うん、うん…ああ、うん…楽しんできて。うん、じゃあ」 電話が終わったのか、望月さんはケータイをポケットにしまった。 「望月さんも二次会行かないんですか?」 「行かない」 サラリと答える望月さん。 最初から面倒くさそうにしてたもんなぁ。数合わせだったのかな? 「…そうですか」 スッキリしたにはスッキリしたけど、まだ若干残ってそうで気が気じゃない。 一応しゃがんで、吐かないように自分の身体を落ち着かせた。 「さて、帰るか」 望月さんは眠そうに欠伸をし、眼鏡を取り、目を擦っている。 「…あ、はい。今日は沢山ご迷惑おかけして、すみません。色々とありがとうございました。さようなら」 しゃがみながら、望月さんにそう告げると、望月さんは目をパチパチと瞬かせている。 「…何言ってんの?」 「え?」 何言ってるの?と言われましても…謝罪と感謝と別れの言葉を全部言ったつもりなんですけど。 「…送ってく」 望月さんが私を見ずに遠くを見ながら、ぽつりと呟いた。 「え?」 今…なんと…? 他人に無関心で無愛想な人に見える望月さんから、あまり出なさそうな言葉が聞こえた。 「…送ってくって。 こんな夜に1人だと危ないし」 「ぜ、全然平気ですよ!1人で帰れます」 「…ここら辺、街灯少ないから…もし万が一のことがあったら大変だし」 「そんな簡単に万が一のことなんて起きませんよ。ストーカーだっていないし、私みたいなちんちくりんをどこかに連れ込もうと考える人もいませんよ」 「違う。もし万が一、あんたが事故にあったり、誰かに刺されたりしたら…最後にあんたと話したのは俺だっていうことになって、事情聴取されなきゃいけないだろ。それは避けたいんだ」 「いや、なるわけないじゃないですか! 何万分の確率の話をしてるんですか!不吉なこと言わないで下さいよ。というより、私の心配をして下さいよ」 なんで自分の身を案じてるんだ。  
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