*+.番外編 まっさらな憂鬱.+*

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「・・・・・・・・」 私の問いかけに晋太郎さんは黙り込んでしまった。 この沈黙が辛いわ。…私、結構勇気出して聞いたつもりなんだけど…責めてるように聞こえたのかな。 「・・・・・・・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・・」 これは怖いわ・・・。聞いてしまったから、もう今更だけど・・・話逸らそう。 「あの・・・ごめんなさい。色々迷惑かけてしまって・・・。 傘忘れてきて・・・携帯も忘れてきてしまったの・・・。お仕事増やして、ごめんなさい」 晋太郎さんの方を見ずに謝った。これ以上、醜い自分を晒したくない。 嫌な顔されていたら、嫌だもの。 「いえ、仕事ですから」 こういう時だけ、すぐ返事を返してくれる。 それがすごく苦しい。 「そうよね、ありがとう」 その言葉を最後に無言になり、家に着いた。 家に着くと、晋太郎さんはすぐにどこかへ行ってしまい、私はリビングに向かった。 「あ、おかえりなさいですぅ」 中に入ると、麻紀が紅茶を飲みながらテレビを見ていた。 ・・・麻紀の顔を見て、少しイラッとしてしまう。 朝のことが無かったかのように・・・接してくるわね。 まあ、今更掘り出しても・・・どうにもならないけど。 「亜紀ちゃん」 ソファにボスッと腰を下ろすと、麻紀がテレビから視線を逸らし私の方を見た。 「なに?」 「今朝のことなんだけど・・・ごめんなさいですぅ。 あの・・・晋太郎さんに怒られましたぁ。ちょっと麻紀も意地悪しすぎたかなぁって・・・」 「・・・別にいいわよ。私こそ、ごめんね」 まさか麻紀が謝るなんて想像もしてなかったから、少し反応に困ったけど・・・どっちもどっちってことよね。 それにしても・・・晋太郎さんが怒ってくれたなんて、少し嬉しいかも。 「亜紀ちゃん、にやにやしてるぅ。何か晋太郎さんのこと考えてたでしょお?」 「うぇっ!?」 麻紀がじとーっとした目で、つまんなそうな顔をしている。 「か、顔に出てた?」 「出てましたよぉ。早く気持ち伝えたら、どうなんですかぁ?どうせ」 「言わないわ。絶対に」 「え・・・?」 気持ち言ったところで・・・困らせるだけだもの。  
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