終わりの鐘は鳴っていた

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それからの毎日は、椿がよく寂しそうな顔をするようになった。 たまに義貴先輩が家に遊びに来る。前よりよく来るようになって、私の部屋に声をかけてくれる。 ゲームしないか?とか、三人で出掛けないか?とか、以前よりも私を誘ってくれるようになった。 気持ちはすごく嬉しかった。でも、二人の邪魔するのは申し訳ないし、行く気持ちにもなれなかったから、前より誘いを断るようになった。 そんな私は今、部屋でボーっとしている。仕事終わりで、毎日こうやってボーっとするのが日課だったりするんだよね。夜って、ぼんやりしたくなっちゃう。 それで、彰弥くんとのことをぼんやり思い出す。高校生の頃の時とか、思い出しただけで楽しい。 へへ、修学旅行とかも楽しかったー。 ああ、みんなの顔見たいなあ。 色々思い出しているうちにアルバムが見たくなってきた! どうしようかなー!見ようかなー!! でも、押し入れのダンボールに入ってるから、探すの面倒なんだよね。 なんて、押し入れの前をウロウロしているときに、携帯がブブ・・・―ッと震える。 「おおう!!」 変な奇声を上げて、携帯を見るとディスプレイには【葉子】と表示されている。 「どうしたの葉子?」 いつもメールなのに、電話なんて珍しいな。 『久し振り!』 「あ、うん。久し振りだね、そういえば」 『ねえ!明日さ、夜ご飯一緒に食べない?美味しいお店知ったんだけどー』 「明日?急だね」 『んじゃあ、明後日はどう?』 「うーん。いや、いいかな」 葉子の明るい声に少し圧されながら、断った。 すると、電話の向こうから『ええ!!なんで!?最近全然会ってないじゃん』と喚く声が聞こえる。 「ちょっと忙しくて。ごめんね」 『もう!じゃあ、暇になったら教えてね!絶対に!』 と言われ、その場しのぎで返事をした。 そして、しばらく葉子の仕事の愚痴を聞き、葉子の怒りと興奮がおさまったところで電話を切る。 電話を切った後、ゴロンとベッドに寝転がり、溜め息を吐いた。 「・・・なにが、ちょっと忙しいだ。全然忙しくないのに・・・」 彰弥くん、早く・・・連絡してね。  
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