*+。会いたい。+*

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「とりあえず、1人で帰れますから、安心して下さい」 「分かった」 私が立ち上がって、そう言うと、望月さんはあっさり納得してくれた。 「…今日は楽しかったです。またの機会があれば是非またご一緒させて下さい。 では、さようなら」 軽く手を振りながら別れを告げる。 「社交辞令はいいって」 分かり切ってるのか、ばっさりそう言われてしまい、何だか私が猫をかぶってるように思われた感じがして良い気がしない。 「…しゃ、社交辞令なんか私言いませんよ!お疲れ様でした!」 フンッと言い捨てるように伝えた。 ずんずん前に進み、望月さんから次第に離れていく。 少し歩くと、頭がまたフラフラする。 居酒屋の雰囲気に酔ったのかな…。だとしたら、もう酔いがさめてもいいと思うんだけど…。 「うわわ…」 石段に躓き、フラッとバランスが崩れそうになった。 その瞬間、トサッと何かに身体が支えられるような感覚。 「…? あ、望月さん…」 「ったく…。仕方ないから、途中まで着いていってやる」 望月さんが深く溜め息を吐き、私の左腕を掴んでくれていた。 「……あ、ありがとうございます。でも…」 「でも、じゃねぇ!大人しく連行されとけ。路上で倒れられてたら厄介だ」 …確かに。望月さんがいないと、どっかで倒れちゃうかもしれない。 ちょっとだけ…途中まで支えてもらおう…。 「…お願いします」 「ん、素直で宜しい」 私は、望月さんに片腕を掴まれ、家までの道案内をしながら歩いた。  
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