終わりの鐘は鳴っていた

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次の日、私は学生の時のアルバムを見ることにした。 思い出を振り返りたかったっていうのもあったし、彰弥くんの顔を見たいっていうのもあった。 押し入れから沢山のダンボールを引きずり出して、アルバムと高校生の時のアルバムを取り出すことに成功した。 「うわ・・・押し入れって結構ホコリが溜まるんだ・・・。ちゃんと掃除しよう・・・」 ダンボールを出し切ったところで一回そんな反省をし、散らかった部屋のままアルバムを開いた。 最初は幼稚園の頃のアルバムで、幼い顔の私たちが笑って写っている。 侑弥くんにオモチャを取られて泣いている私と、それを見て自慢げに笑っている侑弥くん。 椿とヌイグルミ。小さい頃から可愛いなあ。 あと、ハルちゃんと侑弥くん。一緒に絵本読んでるし。こう見ると思ったよりも昔も仲良かったんだ。 パラパラと捲っていくと、彰弥くんと私が珍しく2人で写っていた。 一緒に折り紙折ってる・・・。可愛いな、彰弥くん。 こんなまん丸い目して・・・。今とは違うな・・・。 幼稚園の頃のアルバムをじっくり見た後、高校生の頃のアルバムに手を伸ばした。 自分のクラスのページを捲ると、写真の前に≪将来の夢≫と記載されていて、各々の夢を書いてある。 えーっと、侑弥くんは・・・【わからん】の一文字。 椿は・・・【できればモデル】 おお、ビックな夢だ。 葉子は・・・【お嫁さん!イケメンの】と書いてある。これでよくクラスの大半に叩かれなかったもんだ。 ハルちゃんは・・・【大切な人と幸せに暮らす!それだけで充分】と可愛らしい字で書かれている。 彰弥くんは・・・【脚本家などの方面で活躍】 「・・・・・・・・・・・・・」 ・・・・ええっと、私は・・・ 自分の名前が書いてあるところに視線を向けた。 「・・・決まってない」 そう一言書かれていた。 その一言だけを見て、彰弥くんの一文を見る。 また苦しくなった。 夢に向かって頑張っている彰弥くんと、何も夢がなく一日を過ごしている私。 もう、分かってた。 でも、 急いでアルバムを捲り、写真のページに辿り着いた。 「・・・っ・・・・・」 写真を見て、何も言葉を出せなかった。  
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