終わりの鐘は鳴っていた

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アルバムに載っている彰弥くんは、昔の彰弥くんで今の・・・今の彰弥くんとまったく違う・・っ・・。 彰弥くんと私が2人で並んでいる写真があって、どこをどう見ても・・っ、今の彰弥くんに・・・この頃の彰弥くんは・・・もう・・・いない・・・-。 確かめるかのように写真の彰弥くんの顔に触れるけど・・・瞳も、顔も・・・何もかもが・・・違う。 それなのに、隣りの私は・・・今とまったく一緒だ。昔も今も大して、何も変わっていない。 他の彰弥くんの写真を探して見たけど、すべて・・・昔の彰弥くんで。 「う、そだ・・・」 今の彰弥くんの顔を思い出しても、この頃の彰弥くんは残っていなかった。 分かってた。気付いてた・・・。 もう過去の君はいない。 もう、あの頃には戻れない。戻ることもない・・・。 君は・・・どんどん変わっていって、少しずつ大人になってる。 なりたかった自分に近付いている。 昨日の電話でもしかしたら・・・なんて。 でも、ちゃんと認めたくなくて・・・そんなことないって・・・希望を持ってアルバムを見た。 でも、アルバムを見たら、君が変わってきた事実を・・・更に突きつけられた。 自分の夢に向かって進む彰弥くん。 何もない私。 彰弥くんがいないと、私は何もなかった。何も・・・夢も、好きなこともなかった・・・。 お互い、そうなんだって・・・変な自信を持ってた。 君も、私を想ってくれてるって。でも、実際の君は違った。 もう、私のことを忘れたかのように・・・君は前に進みだしている。 私のことを、一回も思い出さない時がきてる。 2人で写っている写真を優しく撫でた。 隣りで笑っている君は、もういない。 もう、背中が見えないくらい・・・前に・・・・-。  
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