終わりの鐘は鳴っていた

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アルバムを閉じて、ベッドに寄り掛かる。 息を深く吸って吐いて、目を閉じれば・・・あの頃の2人が並んでる。 春の、桜が綺麗なときも 『蓮華!見てください。綺麗な花びらですよ』 私の頭に乗った桜の花びらを摘まんでみせ、君は笑ってる。 『本当だ!彰弥くんが持ってると絵になるね』 『蓮華の頭の上に乗ってた方が綺麗でしたよ』 『ええ!もうヤダ!彰弥くんったら!そんなお世辞になれてないんだから、やめてよ』 『痛いです、痛いです蓮華』 照れて笑って、君の背中をバシバシ叩いた。 夏の暑い日には 『じゃあ、俺はもう帰りますね』 私の家に遊びに来てて、夕方に玄関でそう言う君。 『ああ!ちょっと待って!』 私はバカみたいに大きな声で呼び止め、リビングに急いで戻り、彼の元に戻った。 『はい!』 差し出したのは、ソーダアイス。 2本繋がってて、パキンッと割るタイプのもの。 それを割って、ひとつ彰弥くんに差し出した。 『なんですか?』 『暑いし、これ食べていきなよ』 『え!?今ですか?帰り際なんですけど』 もう靴まで履いている彰弥くん。でも、呆れながら笑って、受け取ってくれた。 『美味しいね』 『そうですね。まさかアイスを玄関で食べるとは思いませんでしたが』 そう言って、君は笑った。  
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