終わりの鐘は鳴っていた

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これで、もう・・・本当に終わり・・・。 『いいえ』 私のお礼に短く返事を返してくれる彰弥くん。 一筋涙が零れたら、我慢していた涙がわっと溢れて、私は気付かれないように目元を必死に擦った。 「・・・・・・」 『・・・・・・・・』 お互いどう別れの言葉を出していいか分からなくて、数秒無言になる。 「えっと・・」 本当は、まだ切りたくない。だって、これが彰弥くんと話す最後の時間だから。 でも、お互いこのまま無言っていうのも変だし・・・。 なにか、気の利いた言葉・・・ないかな。 なにか無いか、なにか・・。 必死に頭の中をフル回転させていると、 『・・・蓮華』 「な、なに・・・?」 名前を呼ばれた。 『お体には気を付けて。無理せずに自分のペースで進んで下さい』 「う、うん」 『では、さようなら』 -・・・電話は切れた。 私から切れないことを察して、先に切ってくれたんだ・・・。 最後まで優しい言葉で、最後まで私のことを気にしてくれて 「・・・・・っ・・・・うぅっ・・・・!」 最後まで素敵な人だった。 最後まで情けない彼女でごめんね。 全部辛いことをさせて、ごめんね。 私は、今日で彰弥くんを卒業するから。 今までありがとう。 これをさっき言えば良かったね。でも、上手く言葉が出てこなかったんだよ。 多分慣れるまでは苦しいけど、辛いけど・・・ おかげで、これで前に進めるよ。 「ありがとう、さようなら・・・」  
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