*+。会いたい。+*

39/44
前へ
/430ページ
次へ
街灯が少ない道の中、望月さんと2人っきりで歩いているのが何だか滑稽に思えてきた。 「………」 「………」 ち、沈黙は痛い! な、何か…何か話題を…何か無いか何か無いか…。 「も、望月さんって…お付き合いされてる女性はいるんですか?」 苦渋の選択だった。 望月さんとネリケシの存在意義について口論できるわけもないし…。 カブトムシ派かクワガタ派か聞きたいけど、そんな話をしたら会話が多分長くは続かない。 消去法でいくと、やはり恋愛系の話が長く続くはずなんだ! 女の子同士も恋愛話が一番花が咲くって聞くし…! 「なにそれ?それ聞いてどうするの?俺のこと狙ってんの?」 望月さんが…私の見間違いじゃなければスゴい表情で私を見ている。 綺麗な顔が歪むと、普通の人が怒った顔以上に恐ろしい。 「ね、狙ってませんよ!私には、ちゃんと付き合ってる人がいますから」 「へー。あんたと付き合う人なんているんだ。意外だね」 「何か軽やかに失礼なこと言ってません!?」 「いや、そんなことはないけど…。あんた、俺の知り合いと似てるからさ」 「か、顔が…?」 「まあ、パッとしない地味な顔もそうだけど、性格もあまりいないタイプって感じ」 「…今、私とその知り合いの人を二重で傷つけてますよ、貴方」 望月さんって……クールっていうよりサバサバしてる? というか毒舌? 「…その知り合いは女の子ですか?」 「……女と言えるか分からないが、まあ…どちらかと言えばそうだな」 どちらかと言えば…!? 望月さんが考えながら言うから、私の頭の中には、地味な顔立ちの人気のないスナックのオカマさんが頭に浮かんだ。 …い、イヤだ! 似てるって言われたくない…! せめて人気なお店のスナックのオカマさんがいい!  
/430ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2795人が本棚に入れています
本棚に追加