もう届かない過去

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あまり大した話はせず、他愛無い話を繰り返して、蓮華の家の前まで来た。 聞きたいことはあったし気になることもあったけど、蓮華からくだらない話を振って、俺に何かを隠すように接してくる。 あやしすぎるけど、ここでなんか言ってもなぁ。 「じゃあ、送ってくれてありがとう!1人で帰れる?」 家の前でヘラッと笑って言う蓮華に、「バカにしてんのか」と軽く頭を叩いた。 「冗談だよ。でも夜道は危ないから気をつけて帰ってね」 さっき1人で帰ろうとした奴が言う言葉じゃねぇだろ。 まあ、コイツらしいか。 「じゃあな」 「あ・・・あ・・・」 背を向けて立ち去ろうとすると、後ろから戸惑ったような声が聞こえて振り向いた。 振り向くと、何かを言うのを戸惑っているように眉を歪めている蓮華。 具合が悪いのか? 「どした?」 少し不安になりながら蓮華が立っている所まで戻る。 「まさか、飲み過ぎか?具合悪いなら早く家入った方が・・・」 「お願いがあるんだけど」 俺の声を遮って、深刻な声色で話す蓮華に少し身じろぎをした。 「改まってなんだよ」 言いにくそうに口を動かす蓮華。 「彰弥くんには、私に会ったこと言わないで欲しいんだ」 「・・・・ああ、うん。分かった」 二言返事でそう言い、蓮華を家に促して、帰り道を歩いた。 ・・・あの言い方は・・・何だか気になる。 本当は言って欲しい、と思わせるような雰囲気だった。 「うう、さみぃ」 冬の風が頬を掠める中、ずっと蓮華の言葉だけが頭の中に反芻していた。    
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