もう届かない過去

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彰弥に隠し事でもあるのか? でも蓮華に限って、そんなことはないだろうしな。 それにしても、すっぴんに近い顔をいつもしてたのに・・・今日は化粧してたな・・・・。 冷たい風に当たっていると思考さえもよろしくない方にいってしまう。 もしかして浮気か・・・?でも蓮華がそんなことするわけ・・・。 うーん。でもなあ・・・・。 頭を必死に働かせて考えながら歩いていると、あっという間に自分の家に着いた。 「ただいまー」 玄関口で大きな声を出して入ると・・・・・あれ?全然他の奴の声が聞こえない。 疑問に思いながら、従業員の休憩室の前を通る。すると、ドアが半開きで中から声が聞こえてきた。 なんだ?休憩中か? チラッと中を覗くと、執事とメイドがテレビを見ながら何かを言っていた。 従業員の休憩室は結構充実していて、テレビやソファが設置されている。休憩時には、お菓子や飲み物も配布されるから、結構いい環境だと思う。 つーか、ほとんどテレビ見入ってるな。 「おい、何見てんだ?」 普段だったら無視するところだけど、かなり真剣な顔つきで全員がテレビを見てるから若干気になる。 俺の声が聞こえると、従業員たちは肩を大きく揺らし、慌てて俺の方を見た。 「ゆ、侑弥様!おかえりなさいませ!」 「申し訳ございません!帰って来られたことも気付かずに!」 メイドと執事が慌てて俺に頭を下げる。 「別にいいって。それより、すげー真剣にテレビ見てたけど何見てたんだ?」 部屋の中を覗きこみ、テレビに視線を向けると 【ですから、今浮気するカップルが増えているのが現状です。先程のカップルもそうですが、最近では女性の浮気が多いみたいですね】 テレビのリポーターがマイクを持って、そんなこと言っている。 「なんだこれ?」 遠慮なくソファにドカッと座り、テレビの画面をまじまじと見るとメイドたちが言いにくそうに口を開いた。 「今、女の子の方が浮気が多いみたいなんですよ。私の息子も、可愛らしい子と付き合ってるんですがね・・・もしかしたらされてるのかしら」 「若い子は何やってもいいと思ってるのかしらね。もちろん侑弥様と彰弥様は別ね。あと、真由奈も若いのにちゃんと働いて偉いわね」 「へぇ」 特に興味もなく相槌を打つが、脳裏にさっき会った蓮華が過ぎった。  
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