もう届かない過去

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蓮華に連絡したことはいいものの、無駄に緊張するのは何故だろうか。 今、街の近くの居酒屋で蓮華を待っているけど・・・この変に手に汗握る感じが気持ち悪くて仕方ねぇ。 大学終わって早くこっちに着いたけど、蓮華は仕事のほう大丈夫なのか? 待ち合わせが夜7時。携帯の時刻を見ると、7時半だ。メールも電話も来てないし。 アイツだったら、遅れる場合連絡してくるよな? 居酒屋付近には、会社帰りや学校帰りの人々が結構居る。もしかしたら、蓮華ももう来てるのか? 蓮華に電話をしてみることにした。 プルルルル・・・- 携帯に聞こえるのは、一定の機械音のみ。しばらく待ってみたけど、蓮華が出る気配はなかった。 大丈夫か? 少し心配に思いながら携帯を見つめていると、 「ゆ・・・ゆ・・やく・・・ん」 と遠くから小さい声で何かが聞こえた。っていうか、俺呼ばれた? 恐る恐る周りを見渡してみると、少し遠くから蓮華が歩いてきていた。 何故か腹を抱えながら。 慌てて蓮華に駆け寄ると、遠くからだと分からなかったけど顔色が悪い。 青白い顔色で、腹を抱えながら唇を薄く開け、呼吸が苦しそうだ。 「おい!どうした?大丈夫か!?」 見るからに大丈夫ではなさそうだったけど、混乱のあまりそんな問いかけをしてしまった。 蓮華の肩を支えるように掴んで、少し体勢を安定させる。 「く、くるしい・・・うっ・・・」 蓮華は腹を痛そうにしながらも口元を手で覆った。 「おい!」 こんな風になっている蓮華は初めてだ。  
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