もう届かない過去

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さっきから、「・・おえっ」とか「うっ・・・」とか聞こえるけど・・・これって、つわり・・・? そういうのを目の当たりにしたことなかった俺は、蓮華をまじまじと見てしまう。 「お客さん、どうしますか?このままお家に行ってよろしいんですか?それとも産婦人科行かれますか?」 「いや、あの」 やばい。わかんねぇ。蓮華に聞いても・・・。 迷いながら蓮華を再度見ると、うっすら目に涙を浮かべながら首を少し振っていた。 蓮華にコクッと頷いて、「いや、家でいいです」と早めに告げた。 そのあとは、あっという間だった。家まで着いて、蓮華を急いで中に入れた。 蓮華はすぐトイレに飛び込み、俺は何をしていいか分からず心配しながら蓮華が落ち着くのを待ってることしか出来なかった。 ※ 「・・・本当に申し訳ございませんでした」 今はリビングで、トイレから出てきた蓮華は床に正座している。俺はソファに座っていた。 「もう大丈夫なのか?」 俺は自分でも思うけど、こいつに甘い。それか、ただのバカなのか。 正座している蓮華の腕を引っ張りソファに座らせ、腹が冷えないようにブランケットをかけた。 「あ、ありがとう・・・。本当にごめん」 蓮華は申し訳なさそうに頭を下げる。 少し・・・いや結構聞きづらいが一応確認のため聞いてもいいよな・・・? 聞くのに緊張してきて、大きく息を吸い込み蓮華を見つめた。 「・・・あのさ」 「なに?」 「お前・・・その・・・さっきのって、あれか?」 「え?あれ?」 「あの、あれ。タクシーの運転手に、産婦人科行くか聞かれただろ?」 やっぱり言いにくくて視線を外して聞いた。 「ああ!ただの食べ過ぎだからね、産婦人科行くか聞かれたときはどうしようかと思ったよ」 「は?」    
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