もう届かない過去

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今、コイツは食べ過ぎと言ったのか? あんなに不安になった俺の前で、笑いながら食い過ぎって言ったのか? 「何か挑戦したいなあって思って、侑弥くんに会うまでの間でケーキをたらふく食べてみたんだよね」 「・・・・・・・」 「でも、具合悪くなっちゃって。会いに行く途中でお腹が悲鳴を上げてたからもうダメかと思ったよ。本当ごめんね。会う前に食べないほうがいいね」 そう笑って言う蓮華の横で、俺は頭を抱えることしか出来なかった。 ああ、わかってた。わかってたよ。蓮華が正真正銘の馬鹿だってことは理解していたよ。 でも、ここまでわけ分かんないことに挑戦する奴でもなかったよなぁ~。 多分・・・俺の記憶が正しければ・・・。 「え?侑弥くん?大丈夫?もしかして具合悪いの?」 「うるせぇ、黙れ。・・・ったく、どれだけ心配したと思ってんだ」 最近様子が変で心配だったけど、予定変更だ。 説教だ、説教。子供か、コイツは。 「いいか、蓮華。お前に言いたいことがある」 蓮華の顔を睨むように見ると、蓮華は少し申し訳なさそうに眉を歪めた。 「ナンデショウカ?」 不安になったのか妙に蓮華の言葉が片言になった。 「この前会った時から様子が変だったけど、何か隠してんだろ?」 「い、いえ。隠してるなんてことはないです」 「顔見たら分かるんだよ。お前のその情けない顔は絶対何か隠してるんだろ」 「・・・・」 ちょっと貶し過ぎたか?蓮華はしょぼんと首を下に傾けた。 「・・・私、変わりたいんだよね」 蓮華を見つめ、何を言うか待っていると、ポツリとそう言った。 「変りたい?」  
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