友達だから

3/14
前へ
/430ページ
次へ
俺がこんなこと気にしなくてもいいんだろうけど、彰弥の様子を考えると……アイツが絡んでいるような気がしてならない。 まさか、本当に浮気……? いや、でもアイツにする度胸なんてあるか? それ以前に彰弥みたいな男前と付き合っていて、そんなこと出来るか? 俺だったら出来ない。というか絶対しない。 彰弥に最近アイツとは連絡取っているのか? って聞いた方がいいのか……彰弥の元気ない姿を見ているのは辛い。 今日の放課後にでも暇を見つけて話してみようか……。 口から精気が出そうなくらいげっそりしている彰弥を見つめ、深く溜め息を漏らした。 そんな俺を見て、佐山も溜め息を出す。嫌な連鎖だな……。 放課後。彰弥が自分の席を立つと、俺と佐山も慌てて自分のカバンを持ち、駆け寄った。 「彰弥、あのさ今日……」 とりあえず近場のカフェで話でも聞こうかと口を開くと、俺の言葉に彰弥が忙しそうに声を被せた。 「すみません、授業のレポートがまだ終わっていなくて。家に帰って終わらせないと」 申し訳なさそうに言う彰弥に、逆にこっちが申し訳なく感じてしまう。 「あー、そっか。最近本当に大変そうだから、無理するなよ。もし、なにか手伝えることがあったら言って欲しい」 そう伝えると彰弥はニコッと久し振りに柔らかい笑みを浮かべてくれた。 「ありがとうございます」 小さく頭を下げ、彰弥は颯爽と俺と佐山の前から去ってしまった。 「……忙しいものね。しょうがないよ」 佐山が彰弥が走っていった廊下を寂しそうな顔で見つめている。俺も一緒にその方向を見つめ、溜め息がまた漏れてしまった。 ……なんか力になれねぇかな……。彰弥が笑ってくれないと、俺も佐山も……つまんねぇよ。
/430ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2795人が本棚に入れています
本棚に追加