友達だから

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―蓮華side― 最近つまんないなぁ。 ベッドに寝転びながら思うのはいつも同じことだった。 毎日が会社と家の往復……。3か月前くらいとまったく変わっていない自分に溜め息が出る。 暇だから椿を見習ってお化粧の練習したり、よく散歩するようになった。変わりたいとは思っていたけど、この状態じゃあ前よりも悪化している気がしてならない。 侑弥くんは無理して変わらなくていいと言ってくれたけれど、少しは変化っていうものが欲しい。 ……別に彼氏が欲しいとかじゃなくて……胸躍る何かが来ないのかなぁ、なんて思ったりする。 深く溜め息を吐き、目を閉じると携帯が振動する。顔の横に置いてあるせいか、結構な振動が伝わってきて急いで持ち上げ、画面を凝視した。 画面にはメール受信と出ており、差出人を確認すると……『佐山さん』だった。以前、何となくメールアドレスを交換したけれど、まさか連絡が来るとは思わなかった。 早速内容を確認してみると、彰弥くんの元気がないこと、彰弥くんと何かあったのか……という内容で、文面から心配していることが分かる。 ……彰弥くん、大丈夫かな? 元気かな……? もしかして私のせいで元気ないのかな。 なんて、ぼんやり考えてハッとする。 ……いや、それは無いか……。私が居なくても、きっと大丈夫。多分忙しすぎて具合悪くなってしまったのかもしれない。彰弥くんは余裕な笑みをいつも浮かべているけど、無理をする人だ。頑張り過ぎて、疲れるときだってある。それでも笑顔で頑張っている人だ。 あまり無理しないで欲しいな……身体壊したら大変だし、やつれてる姿見るのは辛い……。 あ、でも……もう姿を見ることもないんだ……。 そう考えると、胸がちくりと針が刺さったように痛くなる。
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