夢にまで見た

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岩田さんに誘われてから、あっという間に時間は過ぎ去った。 あれから一週間、今日が会う日だ。季節は11月上旬で、とりあえず洒落た格好はせず、あったかい格好で行くことにした。 とりあえず、どこで待ち合わせるかという話になり、迎えに来てくれると言った岩田さんをやんわり断った。いきなり家まで迎えにきてもらうのは少し申し訳ないし、なんとなく嫌だった。 肌寒くなったので少し厚めのコートを羽織り、身支度を整える。 ……これで良かったのかな。岩田さんに会うの……良かったのかなぁ。 ぼんやりと待ち合わせ場所のカフェに足を運んでいると、ちょうど目的のカフェの目の前に見慣れた顔を見つけ、「おお……」とワケの分からない感嘆を漏らしてしまった。 「お、蓮華じゃん。久しぶり、元気か?」 そこには、こないだ散々みっともない姿を見せてしまった侑弥くんがいた。 「久しぶりだね。元気だよ。あの、こないだはごめんね」 慌てて謝ると、きょとんとした顔をされて、私まできょとんとしてしまう。 「いや、あの、みっともない姿見せちゃったりとか、いろいろ……」 「ああ! みっともないなんて、今更だろ! 気にするなよ」 思い出したように笑って言われる。 いや、気にするよ! っていうか、今更って今まで私のことどう思ってたの!? 頭の中でムッとしていると、それが顔に出ていたのか「どうした? トイレか?」と言われ、更に的外れな言葉に「違うよ!」と大きく否定する。 でもその誤解はこれまでの私の行動を見ていたら、そう思うよねと自分も納得せざるおえなかったので、それほど憤りは感じなかった。 「これから買い物か? 遊びにでも行くのか?」 「あ、うん。ちょっと最近仲良くなった友達と……」 なんとなく申し訳なくて、視線を泳がせてしまう。 あんなに心配してくれた侑弥くんの前で、新しく知り合った異性の友達と会う……なんてこと言いづらい。  
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