夢にまで見た

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チラッと侑弥くんに視線を戻すと、カフェから出たところらしかった。 侑弥くんは……もしかしてデートとかなのかな? ここの待ち合わせ場所のカフェはお洒落で可愛らしい小物が飾ってある。なかなか男性一人で入るようなイメージはない……。 「侑弥くんは何してたの?」 自分の話をこれ以上掘り下げないように聞くと、「ああ、ここで友達がバイトしてるから茶化しにきただけ」と楽しそうに笑っている。 「そうなんだ」 これで私の質問はあっさり終わってしまった。 岩田さんが来るまでに侑弥くんとお別れをして、早くカフェの中に入りたい。 このままじゃ変に誤解されてしまうかもしれない。 「あ、あの、侑弥くん! 私、もう友達来ちゃいそうなんだけど」 腕時計を見て慌てて言うと「あ、そっか。じゃあ、また今度落ち着いてどこかで飯でも食おう」と侑弥くんはその場を立ち去ろうとした。 「二階堂さ~ん!!」 侑弥くんが私に背中を向けた瞬間、聞こえたのは紛れもない待ち合わせ相手の声だった。 その声が聞こえたのか……いや多分間違いなく聞こえてるよね。 一度背中を向けた侑弥くんもゆっくりこちらを振り返る。 私もゆっくり振り返ると、やっぱり岩田さんだった。走ってきたのか頬を微かに赤くして、汗もじんわり浮かんでいるように見えた。  
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