*+。会いたい。+*

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「あ、アドレス?」 「そう、ほら早く」 望月さんは携帯を私に見せた。 本気で交換する気だ…。 いや、でもまあ…これは合コンなんだし、交換しても構わないよね。 数合わせの2人なわけだし、お互いそういう気はないだろうし。 「は、はい」 私は携帯を取り出し、赤外線送信を押し、望月さんは受信を押し、次は私が受信し、望月さんが送信を押した。 「…よし、登録」 「わ、私も登録」 お互い登録を確認し、「多分メールすることは無いね」と笑って話し合った。 「でも、何か用あったら遠慮なく連絡するから」 望月さんがそう言った瞬間、プルルル…とどちらかの携帯が鳴り出す音が聞こえる。 私の携帯は振動してない…から。 「あ、悪い。俺だ」 望月さんは携帯の受話ボタンを押し、耳に携帯を押し当てた。 「あ、お前か」 お前…? 真っ先に出た言葉がそれって…電話した相手に失礼なんじゃないかな…。 「は?面倒くさい。自分でやればいいじゃん。俺にわざわざ電話すんな、バカ」 かなり電話相手が不憫に思えてきた。こんなにボロクソ言われるなんて可哀想に。 「…あ?行かねーよ。ああ、んじゃあな」 話し終わったのか、望月さんは携帯をしまい、溜め息を深くこぼした。 「悪い。あんたのこと送れなくなった。1人で大丈夫か…?」 「だ、大丈夫です!もう元気なので」 申し訳なさそうに謝る望月さんに、私は両手をブンブンと左右に振る。 「ごめん。気をつけて帰れよ」 「はい。では、さようなら」 離れて、さっき歩いていた道を戻りながら望月さんが軽く手を振るから、私も軽く手を振ってバイバイをした。 夜道、1人で帰るのはちょっと怖いけど…まあ大丈夫だろう。  
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