*+。会いたい。+*

44/44
前へ
/430ページ
次へ
ふらふら歩いてると、フッと顔が笑ってしまう。 なんだか、ああいう出会いの場でアドレスを交換するって…新鮮だなぁ。 滅多にしないアドレス交換だけど……知らない人とそういう繋がりがあるのも良いかも。 まあ、私には彰弥くんがいるから、そういうお付き合いする関係にはならない出会いだけどね。 携帯を見ていると…フと、彰弥くんが脳裏に浮かぶ。 …今、何をしてるんだろう。 何を考えているんだろう。 会いたいな…。 会って、安心したい。 家路に着くまでに、歩道橋をぶらぶらと歩いた。 真っ暗なせいか、下で走っている車のライトがヒドく綺麗に見える。 歩道橋を渡り、下におりる階段をトントンと下りていると、彰弥くんとの思い出が頭を過ぎる。 いつもの優しい笑顔が頭に浮かぶと、私も自然と笑ってしまう。 「…会いたいなぁ……っ!?わわ…っ!!」 ガクッと身体のバランスがとれなくなる感覚。 ズルッと足が滑ったのが、揺らぐ身体でイヤでも分かった。 まるで、身体がスローになってるみたいに、落ちる感覚がゆっくりゆっくりやってくる。 イヤな冷や汗が出てきて、落ちる瞬間がヤケに長く感じるが、端から見たらあっと言う間だろう。 ただひとつ、落ちる瞬間に叫びたかったことは、 私って本当バカ…!!! っていうこと。 「…………っ!!」 ああ、彰弥くん…。 バカだよね…。階段で足滑らして転んじゃったよ。 転んじゃったのは、まだいいとして……頭ぶっけちゃった…。 ガンガンして…すごく痛いんだ。 「ちょっと…貴方だ、大丈夫!?起きれる!?」 身体中もヒリヒリして……熱い…。 「出血してる…!早く救急車を呼ばないと!」 「あ、あた…っ、あたし呼びます…!」 あれ?何か色んな人の声が聞こえる。 頭痛いの…。そんなに大きな声……近くで、出さないで……。 『蓮華…』 あれ…?彰弥くんの声も…聞こえる……。 近くに来てくれたの……? 『……んげ…』 …え…? …どんどん声が私から離れてくよ…。 ねえ…彰弥くん。 もう離れないでよ。 もう離れたくないよ…一緒に居たいよ。 ねえ………――  
/430ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2795人が本棚に入れています
本棚に追加