*+。再会と頭痛。+*

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「バカね!!ちゃんと見て、階段を下りなさいよ!軽傷だったから、まだ良かったけど、もし何かあったらどうするの!」 「ご、ごめんなさい…」 お母さんに一気に叱られ、私は頭をペコッと下げた。 本当に心配かけちゃったんだ…。 申し訳ない気持ちが募る中…、ちょっと嬉しかったりする…。 今まで、こんなにお母さんが心配してくれることなんて無かったから…。 頭を下げながら、口角がちょっと上がってしまったのは秘密。 「まあまあ、蓮華も無事だったんだし!とりあえず良かったよね!お母さん、さっき先生に呼ばれてたし、行ってきなよ」 椿がお母さんにニコッと笑顔を見せた。 「…そ、そうね。ちょっと行ってくるわ。椿、後宜しくね」 お母さんは、丸椅子からソッと腰を上げ、椿に一言言い、部屋を出た。 「……」 特に何も話すことがなく、ポーッとしていると、椿がクスリと笑い出した。 「な、なに!?」 「え?ううん、ふふ。何でもないわっ」 ニコニコ…いや、ニヤニヤした椿に、若干良い気がしない。 「…なにー?教えてよー気になるよ」 「ふふ、蓮華が寝てる時ね、お母さんずっと付きっきりだったんだよ」 椿は急に勿体ぶらなくなり、サラリと教えてくれた。 「えぇー!!うそー!?いつ!?何分間?」 「なんで何分間よ。 確か、病院に運ばれてきて8時間くらい経つから、それくらいずっとだわ」 「…へぇー、そっかぁ。…へぇ…」 特に気にせず言葉を返したけれど、本当は……すごく嬉しい。 普通だったら、こんなことで喜ばないかもしれない。 でも、母に可愛がられていると実感出来なかった私には…不謹慎だけど、嬉しかった。 キュッと下唇を噛みしめ、ニヤケるのを堪えた。 と同時に申し訳ない気持ちが込み上げてきて、椿を見ると、「お母さんも結構コロッとしてるから別に根に持つくらい怒ってはいないわよ。蓮華が大丈夫だったんなら、それで良しって思ってるわ」と私の心を見透かしてるみたいに、椿が優しく言ってくれた。  
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