*+。会いたい。+*

5/44
前へ
/430ページ
次へ
午後19時…― 「じゃあ、お疲れ様でした」 仕事が終わり、更衣室を出ようとした私。 今にも更衣室の扉のドアノブを握って出ようとしているのに出られなかった。 「…離してくれないかな?由衣ちゃん」 由衣が、私の腕を両手で掴んで離さないからだ。 「どこ行くのかなぁ―?蓮華ちゃんは」 「どこ行くって帰るんだけど」 「え~!彼氏に聞いてくれるって言ったじゃん!」 由衣が唇を尖らし、ブーブーと文句を言う。 「聞くよ!聞くけど、今は聞かないよ!」 は、早く帰りたい!もう疲れたから、早く家でダラダラしたいのに…! 「不正を行うかもしれないからダメ~!ここで聞いて?」 ぐっ…、バレてる。 ドアノブをギュッと握っていたけど、他の人が帰れないから私は渋々ドアノブから手を離した。 「お疲れ様~」 「明日ね~」 「じゃあね」 みんな次々帰っていく。 ついに、更衣室は私と由衣の2人っきりになってしまった。 「……いい加減帰らせてよ~」 もう疲れたよ~。 「ダメ!ちゃんと今聞いて!」 「……はぁ、分かった」 私は渋々ケータイをカバンから取り出し、ピコピコと文を打ち、由衣に見せた。 「…なに?」 由衣はケータイを覗き込み、首を傾げる。 「…電話は、向こうも忙しいから出来ないけど、メールでなら聞くよ。はい、これをこの人に送るから」 メールの文を見せ、送り相手の名前を見せた。 「…この人の名前、ホントに彼氏の名前?」 送り相手の名前を見た由衣が疑いの眼差しを私に向ける。 どこまで疑うんだ彼女は。  
/430ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2794人が本棚に入れています
本棚に追加