*+。再会と頭痛。+*

9/23
前へ
/430ページ
次へ
「あれ?そういえば椿は?」 何気ない会話をしていると、フとさっき私の予測では現金を取りに行ったであろう椿が戻って来ない。 「ああ、椿ならさっきお会いしましたよ。病室まで案内して頂きました。それから買い出しに行くと言って、外に行かれましたよ」 彰弥くんが私の疑問に答えてくれて、「そうなんだ」と承知の言葉を漏らした。 「あっ、ああぁ! そういえば、あたし、お母さんに買い物頼まれてたんだ!」 急に葉子が両手をパーンと叩き、大きな声を張り上げた。 「え?もう行っちゃうの?」 せっかく久しぶりに話せたのに…。 「ご、ごめんね!また後で来るわよ!」 葉子はせかせかと帰る準備をし出した。 「じゃあね、気をつけて」 「じゃあな。ついでに蓮華に菓子でも買ってきてやれば?」 ハルちゃんと侑弥くんが葉子に声をかけると、葉子がガシッと2人の肩を掴む。 「なーに言ってんの!?アンタら、2人も行くに決まってんでしょ!」 よ、葉子怖いよ…。 「き、決まってないよぉ…」 ハルちゃんが半泣きですよ、葉子さん。 「なんで俺たちも行かなきゃなんねーんだ」 侑弥くんは、かなり嫌そうな顔をしている。 「あたしだって、たまにはイケメン2人に囲まれて買い物したいわけよ!アンタらにその気持ちが分かる!?」 「分かんないよぅ…」 「分かんねーよ!」 ハルちゃんと侑弥くんが反発するも、葉子はかなり力があるみたいで、2人の腕をぐいぐいと引っ張り、病室から出した。 廊下で、2人がまだギャーギャー言っているのが聞こえる。 私と彰弥くんがその様子を黙って見ていると、葉子が笑顔でこちらを振り向いた。 「じゃあね!また後で来るけど、それまで2人でごゆっくりー」 そう言葉を残し、葉子も病室を出て行った。  
/430ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2795人が本棚に入れています
本棚に追加