*+。再会と頭痛。+*

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とりあえず分かったことは、蓮華は……俺と付き合っているという自覚がない。 俺の目の前で、自身を巻いている包帯をいじりながら、目をパチパチと瞬かせている。 「蓮華…、ひとつ聞いてもいいですか?」 「え?いいよ」 俺の言葉に、蓮華はニコッと笑顔になる。 ……とても会いたかった…。 笑った顔を見て、安心したかった。 離れてる間、蓮華との気持ちのすれ違いが気になった。 確かめたい。 俺のことが今でも好きか…確かめたい。 「俺のこと、どう思いますか?」 優しく笑って聞いてみると、蓮華は一瞬考えながらも、すぐに笑顔を見せてくれた。 「彰弥くんは、夢の為に1人で外国にまで行く頑張り屋さんだと思う! 優しいし、格好いいし、そんな彰弥くんが大好きだよ」 良かった…。彼女にとって、俺は嫌いの対象にはなってないみたいですね。 「では、侑弥は?」 侑弥の名前を出した途端、蓮華は声を上擦らせ、おどおどと口を開いた。 「へ!?え!?ゆ、侑弥くん!? …侑弥くんは…うーん……何て言えばいいんだろう……。 ―…私が、私が困ってる時…イヤイヤ言いながらも助けに来てくれる……。 不器用なんだけど、とっても温かい人…」 俯きながらも、優しく笑う蓮華。 照れくさそうに…恥ずかしそうに……。 そんな彼女を見て、分かったことがもう1つある。 蓮華は、俺を『大好き』だと言ってくれた。 でも、侑弥のことを『好き』とも『大好き』だとも…『嫌い』とも…言わなかった……。 どうしてでしょう…? 大好きだと、言われても…全然嬉しくありません。 何故だか、胸が…針を刺されたみたいに…鋭く痛い。 蓮華を見ると、蓮華はまだ俯いていた。 でも、頬は微かに赤みを帯びている。 …ああ、そうか。 蓮華の気持ちは、俺には…無いんですね。 彼女の心の扉は、侑弥に開いている…―。 蓮華は、侑弥のことが……―  
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