2795人が本棚に入れています
本棚に追加
「はあ!?
ちょっと見てもいい!?」
「え、うん」
別にやましいモノは何もないから、戸惑いもなく椿に携帯を渡した。
椿は真剣に携帯を見て、ピコピコと操作している。
多分、彰弥くんとのメールの内容を色々と確認してるんだろう。
私の携帯を椿は返してくれた。
そして一言。
「有り得ない…」
「だよね。彰弥くんと私がお付き合いだなんて有り得ないよね」
納得してくれた……
と思ったら、
「違うわ!蓮華と彰弥くんのメール、恋人同士がするような内容じゃないわよ!
おかしい!なんで“好き”とか“会いたい、寂しい”とか送ってないわけ!?
ネリケシの存在について語って、何の意味があるっていうのよ!」
椿さんの意見はごもっともです。
ただ、最近存在を失いつつあるネリケシを家で見つけ、彼らはこのままこの世界にいて意味があるのか…というのを彰弥くんにメールで送ったら、ネリケシの存在意義について討論してしまったんだな…。
「だから付き合ってないから、そんなメールも一切ないんだってば」
「……そんなことないわよ!!蓮華と彰弥くんは付き合ってる!絶対に!」
「そんなピシッと指差されて言われても……困るんだけどなぁ」
「とりあえず寝て思い出しなさい!
うっかり忘れちゃってるのよ!」
うっかり忘れられるレベルなのかな…?
「…うん、分かった」
このまま椿と話してても、口喧嘩に負けて終わるだけだ。
私は再度ベッドに横になることにした。
「…おやすみ、蓮華。早く思い出しなさいね」
「…うん…、おやすみ…椿…」
思い出せたら、思い出しておくよ。
多分、無いと思うけど。
最初のコメントを投稿しよう!