*+。再会と頭痛。+*

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――――――――――――― ――――――― 「これ、あたしのね。これが蓮華のでー」 「蓮華の分、ちょっと俺食ってもいいか?」 「ダメだよ!蓮華にあげるために買ってきたんだよっ」 しばらく寝ていると、ガラッとドアが開き、3人の声が聞こえた。 「……ん…、よーこと…ゆーやくん…ハルちゃん……おかえり…」 温かい聞き覚えのある声に、私はまだ重たい眼を擦り、開かせた。 「…あら、ごめんね。寝てたのね」葉子は丸椅子にドカッと座る。…以前より男らしくなったように見えるのは気のせいか…。 「うん。ちょっと頭の中整理するためにもね」頭を抑えながら、視線を下に移すと…侑弥くんが掲げている袋に目がいった。 「…その袋?」 「お?ああ、お前が好きな店。よくここでパン買うんだろ」 侑弥くんが、私の手元にボスッと袋を置いた。 袋から美味しそうな匂いが漂ってきて、思わずヨダレが…。 って、あれ? 私がこのパン屋さんによく行くって、誰から聞いたの? 1年くらい前から、このパン屋さんに行き始めて…それを教えた相手は…あまりいないはず。 というか行きつけのパン屋さんの話なんて滅多にしない。 椿にさえも話してないはず…。 私が必死にどういう流れで分かったのか頭の中で模索していると、ハルちゃんがクスクスと笑い出した。 「な、なに!?何がおかしいの!?」 私が慌ててハルちゃんを見ると、ハルちゃんはまだ笑っている。 「パン屋さんのこと、教えてくれたのは彰弥くんだよ」 彰弥くん…? なんで彰弥くんが知ってるの?  
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