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「みんな、ありがとう。今日はもう…寝るよ。本当にありがとうね」
3人の顔を見て、お礼を言うと…3人共照れくさそうに笑っていた。
「…そんな照れんじゃん。友達なんだし、当たり前でしょー。また来るからね」と、葉子。
「そーだよ。また遊びに来るからねっ」と、可愛らしく笑うハルちゃん。
「…それまで沢山寝て、休んでおけよ」とぶっきらぼうに言う侑弥くん。
みんなの言葉に、「うん」と笑って返事をした。
みんなが帰り支度を始め、帰ろうとドアを開けると、お母さんと椿が立っていた。
「…あたし達、今日はこれで失礼します」
葉子を筆頭に、ハルちゃんと侑弥くんがお母さんに頭を下げた。
「今日は、みんな忙しい中ありがとうね。また遊びに来てあげてね」
お母さんが1人1人に頭を下げ、笑いかけている。
椿は、「じゃあね」と手を振っていた。
私もみんなに手を振る…。微かに腕が痛んだ。
「蓮華、お母さんと椿も今日は家に帰るわね。お父さんがもう少しで帰ってくるだろうし」
お母さんが片手を頬に添えて、私の着替えや必要なモノが入っているであろう私のカバンをベッド脇にボスンと置いた。
「分かった、ありがとう」
「…じゃあね、今日はもうたっぷり寝るのよ。明日になったら……」
椿は私の頭を優しく撫でてくれ、声を震わせながら、最後の言葉を吐き出した。
「ちゃんと思い出してね…」
そう言って、椿は病室を出て行った。
お母さんも椿の後について、病室を出て行った。
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