*+。キオク。+*

3/13
前へ
/430ページ
次へ
椿がいなくなった教室は、シーンと静まっていて、開いてる窓からは部活動に励んでいる生徒の声が聞こえる。 さて、蓮華はどこに行ったのか……。 とりあえず、電話してみますか。 携帯を取り出し、アドレス帳から“二階堂 蓮華”という名前を見つけ出し、ボタンを押した。 ――……プルルルルル 一定の音はなるが、蓮華がいつまで経っても出ない。 『…?』 携帯は持ってるはず…。 出ないということは、気付かないほどに何かに没頭しているのか…? ……蓮華が行きそうな場所と言えば、図書室か裏庭か…それぐらいしか思い浮かばない。 図書室だったら、携帯をマナーモードにして気付かないっていうのも納得できる。 図書室に行ってみますか…。 教室を出て、夕陽が差す廊下を歩き、図書室へと向かった。 早歩きで行ったせいか、すぐに着き、図書室の扉を通ると……中には数人の生徒が暇つぶしなのか迎えを待っているのか、本を読みふけっていた。 けど、蓮華の姿はその中にはいない。 ……裏庭か。 図書室をすぐに出て、昇降口を通り、裏庭に向かった。 裏庭には、ちょっとクセがある黒髪の女の子がいた。 『はあ…』 ようやく見つかった…。 安堵の溜め息を漏らし、蓮華に一歩一歩歩み寄るが、様子が変だ。 地面に顔をつけるように屈んで、必死に何かを探しているように見える。 ……何をやっているんでしょうか、この子は。  
/430ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2795人が本棚に入れています
本棚に追加