2795人が本棚に入れています
本棚に追加
椿がいなくなった教室は、シーンと静まっていて、開いてる窓からは部活動に励んでいる生徒の声が聞こえる。
さて、蓮華はどこに行ったのか……。
とりあえず、電話してみますか。
携帯を取り出し、アドレス帳から“二階堂 蓮華”という名前を見つけ出し、ボタンを押した。
――……プルルルルル
一定の音はなるが、蓮華がいつまで経っても出ない。
『…?』
携帯は持ってるはず…。
出ないということは、気付かないほどに何かに没頭しているのか…?
……蓮華が行きそうな場所と言えば、図書室か裏庭か…それぐらいしか思い浮かばない。
図書室だったら、携帯をマナーモードにして気付かないっていうのも納得できる。
図書室に行ってみますか…。
教室を出て、夕陽が差す廊下を歩き、図書室へと向かった。
早歩きで行ったせいか、すぐに着き、図書室の扉を通ると……中には数人の生徒が暇つぶしなのか迎えを待っているのか、本を読みふけっていた。
けど、蓮華の姿はその中にはいない。
……裏庭か。
図書室をすぐに出て、昇降口を通り、裏庭に向かった。
裏庭には、ちょっとクセがある黒髪の女の子がいた。
『はあ…』
ようやく見つかった…。
安堵の溜め息を漏らし、蓮華に一歩一歩歩み寄るが、様子が変だ。
地面に顔をつけるように屈んで、必死に何かを探しているように見える。
……何をやっているんでしょうか、この子は。
最初のコメントを投稿しよう!