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今、俺の目の前にいる蓮華は、自分をしっかり持っていて、真っすぐ自分が思ったことを言う。
『そうですか。それは、失礼しました』
そう言うと、蓮華はまたオドオドし出し、『ううん、別に私怒ってないよ!』と慌てて身振り手振りで言う。
別に俺もそこまで申し訳なく思ってはいない。
『本当に気にしなくていいからね』と、あまり気にしていない俺を気にして言ってくれる蓮華。
本当に、変なところで人を気遣う子だ。
でも、優しくて、とても良い子だということは、約10年ぶりに会ったばかりだけど理解している。
『…で、蓮華。話しは変わりますが、何をしているのですか?』
地面にベタッと両膝をつけて、手もペタンとつけている蓮華に聞いた。
『探し物だよ!』
それは、さっきも聞いた気が…。
『何を何のためになんで探してるんですか?』
ちゃんとした返答をして欲しくて、聞きたいことをまとめて聞いた。
蓮華は、地面を見つめ、ペタペタと手を探らせるように下を向いている。
地面には、三つ葉や雑草、たんぽぽが生えていて、蓮華の手には緑色がところどころついている。
『…四つ葉を葉子の為に探してるんだ。
……葉子ね、付き合っていた彼氏とこの前別れたんだ…。
新しい人探す!って、明るく振る舞ってはいるんだけど…やっぱりまだ引きずってるみたいだから……ちょっとでも元気になってくれればなぁ…って思って』
俯きながら、蓮華は言った。
その後、『あっ』と小さく声を漏らし、『今、言ったこと内緒だよ』と笑う。
そんな蓮華を見て、何故だか酷く…心臓が鷲掴みにされたようなキュウゥ…と締め付けられる感覚がした。
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