*+。キオク。+*

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およそ1時間経ち…― 『なかなか見つからないね…』 『そうですね。意外と無いものですね』 探し回ったが、なかなか見つからない。 もうこの裏庭で探すのは諦めた方が良いのでは…。 『別の場所で探しませんか?学校の裏庭はもう見たでしょう』 『まだだよ。まだ向こう側は見てないからさ』 蓮華は、奥の方を指差して、1つ息を吸った。 それから俺の方を向き、 『長い時間、探させちゃってごめんね。彰弥くんは帰っていいよ。 手伝ってくれて、ありがとう!』 と笑いかけてきた。 …これじゃあ、俺が帰りたいみたいだ。 『…裏庭で探すより、公園などで探した方が見つかると思いますよ』 公園の方が、そういう植物が沢山生えているはずだ。 そっちに場所を移した方が、すぐ見つかると思いますが。 『…裏庭じゃないとダメなんだ。 ここの学校の伝説みたいな話なんだけど、ここの裏庭の四つ葉を持っている人は幸せになれるんだって』 蓮華はそう言いながらも、徐々に徐々に探しながら奥へ向かっていく。 『……』 そういうことか。 その伝説があるから、ここで這いつくばって探してるのか。 ふぅ…。 小さく溜め息を吐き、俺もまた地面に両膝をつけた。 それに気付いた蓮華がこちらを向き、『まだ探してくれるの?』と驚いたように聞いてきた。 『…蓮華が頑張ってるのに、1人でなんて帰れませんよ』 『……っ…』 フと、蓮華が無言になるから下を向いていた視線を横にずらして見た。 『…蓮華?』 隣りを見ると、蓮華が両手で自身の顔を抑えている。  
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