*+。それを頼りに。+*

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次の日、私は早く目を覚ました。 何も音が聞こえない無音の中、朝食が出てくるのを待った。 …今日来てくれるかな…。 ……侑弥くん。 「……来てくれると、いいな…」 侑弥くんのことを考えるだけで、何だか幸せな気分になる。 好きだなぁ……早く会いたい。 フと、枕元にあった携帯に目がいく。 「………」 声…だけでも、聞きたい。 …でも、急に電話したりしたら迷惑だよね…。 朝から私の声なんて聞きたくないだろうし……。 ふぅ…と溜め息を吐く。 せめて、今日も来てくれるか確認したい…。暇があったら、遊びに来てくれる?…なんて、簡単に言えたらいいんだけど…。 「…ああぁ!!もうっ!!」 頭をガシガシと掻き、枕に顔を埋めた。 私に電話する勇気なんてない。 メールさえも送れない。 …会いたい。 …寂しい。 そんなことを素直に言える女の子になりたい。 椿だったら、きっとサラリと言えるんだろうな。 挨拶を言うみたいに、当たり前に…意識せずに……。 「そんなハードなこと、私には到底出来ない…」 言葉に出せないから、頭の中でひたすら願うことしか出来ないよ。 …会いたいよ、侑弥くん。  
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