*+。それを頼りに。+*

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――――――――――― ―――――― …午前中、椿はずっと一緒に居てくれた。 たわいない話をして、最近の義貴先輩とのことを話してくれたり…。 そんな話を楽しく聞いていると、椿が「思い出した?」と不意に聞いてきた。 何をなんだろう? 「なにを?」 「…彰弥くんとの…こと」 「え?まだ言ってるの? 昨日から言うけど、私と彰弥くんは付き合ってないよ」 そう笑って言うと、椿は「…そう」と悲しそうに呟いた。 何をそう悲しむことがあるのか、私には分からない。 このまま、ずっと彼氏が出来ない人生を送るんだ…と思うと哀れみが出てきたのかな。 「椿が悲しむことないよ」 悲しそうに下を向く椿に、笑ってみせる。 「…でも、可哀相だわ。あまりにも…」 え!?私、そんなに同情されてたの!? 「だ、大丈夫!そんなに心配しなくても、私が頑張ればいいだけだよ」 「…本当?」 「う、うん!!」 頑張る! 頑張って、もっとお化粧に気を遣って、可愛くなれるように頑張って、幸せを掴み取るよ! 私が笑顔で頷くと、椿は安心したようにホッと息を吐いた。 「良かったわ。応援してるから、頑張ってね」 「ありがとう!」 椿も応援してくれてるし、退院したら少しは積極的になれるように頑張ろう。  
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