*+。それを頼りに。+*

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「…うーん、そうだね」 渋々頷くと、由衣は「絶対行こうね!」と楽しそうに話し出す。 そんなに沢木さんと一緒に居たいんなら、2人っきりで会えばいいのに。 「…あたしも…また行きたい」 前川さんが小さく言葉を吐いた。 紡ぐ言葉は、とても可愛らしく感じる。 「美里も行こ行こ! 今度は蓮華の彼氏も連れて行こーよ!」 由衣がぎゃあぎゃあと楽しそうにあちこちを歩き回りながら私たちに言う。 …なんかテンション高いなぁ。 っていうか… 「私、彼氏なんていないよ?いるように見える?」 「いや、いないように見えるけど…。前にいるって言ってたじゃん!」 …素直すぎるって、酷だね。 「いるって言った?何かの間違いだよ」 「えー!!言ってたわよ!音信不通だって言ってたー」 「そうなんだ。二階堂さんって彼氏いたんだね」 沢木さんがニコニコ笑いながら、由衣の言葉を真に受ける。 「…いや、いないんですけどね」 「…いるって言ってたじゃん」 望月さんまで、私を見ながらそう言うから、目を思いっきり見開いてしまった。 「えぇ!?私、言ってませんよ!」 「何言ってんの。会えないとか何とか言ってたじゃねぇか」 望月さんから、そう言われると…そう言ったような気が無きにしもあらず。 「…二階堂さんの彼氏、どんな人なの?見てみたいー」 前川さんが目を輝かせて、ワクワクと言ったような表情をしている。 「いや、だから居ませんって!」 みんな、何を根拠にそんな話してるの!? 否定するのも疲れてきたよ!  
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