*+。それを頼りに。+*

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「あ……貴方は…」 彰弥くんは動揺しているみたいで、瞳が揺らいでいる。 珍しいな…彰弥くんが動揺って。 2人共…、知り合いなのかな…? 「……久しぶりね」 前川さんから出た言葉は、トゲトゲしさを放っている。 「えー!2人共、友達だったの?」 由衣が「すごーい」と言いながら、2人の間に割って入った。 それを聞いた途端、前川さんは顔を歪ませ、彰弥くんも辛そうな顔をする。 「……友達、じゃないわ。ただの………クラスメートよ…」 ただのクラスメート…という関係には全く見えない。 前川さんがキッと鋭い眼光を向けているということは、彰弥くんに何かされたのかな…。 でも、彰弥くんは人に酷いことするわけないし。 私の中では、天使と同じくらい良いポジションにいるし。 彰弥くんと前川さん…2人を中心に私たちは静まり返っていた。 その中…… 「わりぃ、遅れたー」 ガラッと、開けられるドア。 疲れきったような声。 ドアの向こうを見ると、侑弥くんが立っていた。 私たちの視線は一斉に侑弥くんに向かう。 「…あ?どした?」 侑弥くんは、私たちの只ならぬ空気に首を傾げ、部屋に入ってくる。 「……やっぱり、貴方達…いつも一緒なのね…。まだ人を陥れるようなことしてるの…?」 前川さんが呟く。 声は、とても震えている。 「は?つーか、あんた誰?」 侑弥くんは、前川さんの声に反応し、前川さんをまじまじと見た。 あ、そっか。 彰弥くんのクラスメートなら、侑弥くんのクラスメートでもあるのか。  
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