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「……彰弥くんと、侑弥くんだったってこと……?」
私の顔は、きっと目をまん丸くしているという言葉が一番合うだろう。
「…流れからすると、そうよね」
私に気を遣っているのか、由衣がゆっくりと重みのある口調で言う。
「え?なになに?
何の話?」
ハルちゃんは終始首を傾げている。
彼の頭の上には、クエスチョンマークと一緒にフワフワとお花も浮いているようだ。
「…え?あたしもワケ分からないんだけど!」
葉子も全く分からない、という表情。
「俺もー」
侑弥くんも眉を八の字にして……って!!
「侑弥くんは覚えてないとおかしいでしょう!!」
ついつい…前川さんの気持ちを考えると可哀想で、侑弥くんにビシッと指をさした。
「…いや、俺知り合いだったっけ?」
「………あの子の名前、前川 美里っていうんだよ。…名前聞いても思い出せない?」
前川さんが…ただただ…可哀想に思えた。
自分がずっと引きずっていたことを…当事者は忘れていた。
こんなに悔しいことはないだろう。
「ま……えかわ…?
……もしかして…」
侑弥くんは気付いたのか、ハッとした表情を浮かべ……不意に辛そうな顔をした。
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