*+。それを頼りに。+*

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侑弥くんにちゃんと聞かないと。 なんでそんなことしたのか、なんで前川さんを傷付けたのか……。 侑弥くんと彰弥くんは、理由も無く人を傷付けたりしない。 そう、信じたい。 「あ~、あたし達、もうそろそろ帰るね。じゃ、お大事にね蓮華」 由衣が、気を遣ってくれたのか、望月さんと沢木さんと一緒に帰った。 「…あ、あたしも帰ろっかな。バイトあるし!ね、西野くん」 「うん、そうだね。 じゃあね、蓮華。無理しちゃダメだよっ」 葉子もハルちゃんも、来てくれたばかりなのに…気を遣って出て行ってくれた。 2人っきりになった病室で、私はスーッと息を吸い込む。 侑弥くんは押し黙ったように下を向いている。 「…私、前川さんから…話を聞いたことがあるんだ…。 昔、好きだった人に…ひどく傷つけられたって…。騙されたって…。 その時は、侑弥くんと彰弥くんだと思ってなかったけど……今分かったよ…」 私がそう言うと、侑弥くんは…辛そうな表情をまた浮かべる。 そして、小さく口を開いた。 「……彰弥の元カノだったんだ…」 「……っ!」 分かっていたはずだった。 彰弥くんがすぐさま追いかけたんだから…彰弥くんの元カノだっていうことくらい。 侑弥くんの元カノじゃなかったって、ホッとしている。 …しているはずなのに、胸の中に黒い塊が落ちてきたような…この重い感覚は何? なんで? ゴロゴロとした変な感じ。 これ、なに?  
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