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「お父さん、お母さん、いつもありがとう!」
そう言って隆史が出してくれたのはケーキとコーヒーのセットだった。
昨日の晩から恭子の力も借りずに一人でケーキを作ったようだ。
何かと一人で出来てしまうことに親として嬉しいような寂しいような複雑な気持ちだ。
自分が12歳だった頃はこんなにもしっかりしていただろうか?
まぁ、母の日と父の日をまとめて祝おうとする辺りはまだ子供なのかな?
「ありがとう、隆史!お母さん本当に嬉しいわ!」
隣のソファーに座る恭子は本当に嬉しそうだ。心なしか涙目になっている。
「ありがとうな、隆史。お父さんも嬉しいよ。しかしまぁケーキまで作れるとは驚いたよ。最近は夜遅くまで勉強してるみたいだけど、大変だったんじゃないのか?」
「ううん、そんなことないよ。いつも頑張って仕事くれてる父さんに比べたら軽いもんだよ。そんことより早く食べてみてよ!」
「ああ、それじゃあ頂きます」
うまい、口の中でふんわりと広がる甘さはなかなか上品で、子供が作ったとは思えない出来だ。
「隆史、凄いな!こんなにもうまいなん…て――…」
「あなた、どうしたの?ねぇ、だい…じょう――…」
バタリ
「……ちょっと量が多すぎたかな?ネットにあった通りに使ったのにな……
みんなは上手くいったかなぁ」
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