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「一体、何が起きてるんだ……」
電話が鳴り響き怒声が飛び交うオフィスで藤井は茫然自失としていた。
サイト運営会社の捜査から明くる日、宮川は死んだ。
死因は睡眠導入剤の過剰摂取。
そして、全国で一斉に起きた12歳前後の少年達の蒸発。
あまりにも被害の規模が大きすぎて警察の機能が麻痺してしまっている。
藤井の頭も上手く働かなかった。
同僚の、部下の死を嘆いている暇があれば敵を取ればいいのだが、容疑者はその子供。
普段なら容疑者に疑問は沸くがいくらか推察出来る。
しかし、これ程までに理由が想像出来ないこともなかった。
頭にふと、サイト運営会社に行った時に会った社長の言葉が過った。
『――子供が怪しい?馬鹿なことを。子供っていうのは純真で無垢なんですよ、いつかは汚れてしまうけど大人がしっかり管理していれば、問題はありませんよ。ましてや私の運営するサイトには不穏な空気などありませんよ』
静かに瞑目し、言葉を反芻する。そして藤井は動き出した。
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