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四階三年生のクラスを抜けた所に生徒会室はある。
いたって普通の生徒会室に見えるが、よく見るとキャットタワーだのネズミのオモチャだの爪研ぎ板だのが沢山ある。
これらはすべてダリアのものだ。
そのダリアは今、キャットタワーの頂で体を丸めて眠りこけている。
ダリアは特に用が無い時は黒猫の姿になっていることが多いのだ。
理由は「頻繁に化けとかないと体がなまる」のと、「この姿でおれば皆無闇に働けと強要して来んからな」らしい。
噂では授業中猫に化けて逃亡を図ったとの話も。
とりあえずダリアは面倒くさがり屋でもあるのだ。
「ダリア様。ちょっとよろしいですか?」
キャットタワーの下から銀髪の女がダリアに話しかける。
この銀髪の女は生徒会書記の御手洗 牡丹(みたらい ぼたん)、三年生。御手洗という名前の人は大抵「トイレー!」とからかわれたりするものだが彼女の場合、その気品の良さに気圧され、からかうなんて品の悪いことは誰もしようとしない。
そんな彼女に呼ばれ、ダリアは渋々人間の姿に戻る。
一瞬キャットタワーが「ミシッ」といったが気にしない。
「なんだボタン。折角寝ておったのに」
「はい、この間の不良の件ですわ」
ニコニコと愛らしい笑みを浮かべながら手元の資料を読み上げる。
「あの不良軍団の生き残りが敵討ちを目論んでいるらしいんですの。学園でも散々暴れ回っているらしいですわ」
どんな話でも笑顔を絶やさないボタン。
この人の怒った顔を見るのは多分世界の終わりであろう。
ボタンの話を聞き終わるとダリアは足を組み替え、ため息をつく。
「まだ生き残りがおったか。あやつら、なかなかしぶといではないか。」
そう言うとダリアは音もなく床に着地する。
「さっさとケリをつけんと、わらわの昼寝を邪魔させない為にもな」
「はい、お供いたしますわ」
そう言って二人は生徒会から悠々と出て行った。
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