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「 いい季節になりましたね 」
窓際に佇んでいた啓輔は、そう言って穏やかに笑った。
社長室から見える大きな公園では、もうすぐ桜が満開だ。
「 桜を見ると…、結婚式の事を思い出して、幸せな気持ちになりますよ 」
そうだな、と小さく笑った俺も、椅子の背もたれに身を委ねながら、窓に視線を移す。
自然と目に入る誌乃の花嫁姿と、新しく増えた愛しい家族の写真が、俺の頬を更に緩ませた。
あーあ、また締まりのない顔しちゃって、とでも言いたげな啓輔の視線に気付いていない訳ではなかったが…、
本当、自分でも呆れるくらいニヤニヤしてしまうから仕方ない。
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