***chapter1***R

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カラオケ終わり、 タクシーを拾って岐路につく。 まだ空は暗い、 夜中の3時時半。 座席のガラス越しに映る 街のネオンは、 これでもかと輝いている。 今日は切り上げるのは早い方だ。 何だかんだで、 いつもシンさんは 自分がどんなに酔っていようが 私を送り届けてから 自分の泊まっているホテルに 帰っていく。 どんなに私が断わっても。タクシー代も払ってくれようとする。 私のマンション周辺になると また今日も言い争う形になった。 「いや、俺が払うから。 後輩に金出させる訳にはいかねえだろ。」 『待って下さい、 良いですってば。 同じ仕事しているんですから。 ご飯代払って貰ったので もう充分ですって。 自分のタクシー代くらい 自分で払えます。』 「まったく。かわいくねえな。」 『可愛くないのは 今に始まった事じゃない ですから。』 ちょっと自嘲ぎみに言い放つ。 本当に可愛くない。 自分でもそう思うのに。 こういうのは自分で出したい。 そうじゃないと気がすまない。 「頑固者は歳をとっても治らんな。」 『シンさん、お互い様ですよ。 そのセリフそっくりそのまま お返しします。』 「…お前昔はもっと大人しくて 可愛かったのに。 いつの間にそんな口 叩くようになったんだか…。 あ!そういえば、リン明日仕事何時から?」 『明日はお休みです。 今日レコーディング 頑張ったので。 …っていうか話変わりますけど、 ラーメン食べたくないですか? うち帰れば ラーメンあるんですけど あがっていきません? 今日奢って頂いたお礼に 作りますよ、私。 まあ、茹でるだけですけど。』 「ホンマかいな。 じゃあ食ってくかな。」 そんなこんなで私の家に到着。 結局タクシー代は割り勘にしてもらった。
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