***chapter1***R

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「お!やっと来たか。 ・・・ズズッ・・・ウマ! 午前4時のラーメン、最っ高。」 『ズズッ・・・あったまるー。 友に感謝。私ラーメンだいぶ久しぶりです。』 塩ラーメンの匂いが小さな部屋に 充満していく。 ご飯食べていると自然と会話も 少なくなる。 だけどシンさんと居ると 自分を飾らないで 素で居られるから会話がなくても 凄く居心地が良い。 『ズズッ・・・ 鼻水出てきますね。』 何にも考えず思った事を 口にしてた。 「色気もヘッタクレも ねえな。 …おら、ティッシュ。」 でも彼は、 色気も女性らしさも乏しい私を 笑い飛ばしてくれる。 彼の笑顔を想えば このままの自分でも良いかな、 とさえ思ってしまう。 『あ。あざす。 ・・・(フーン!)。』 シンさん側にあった 箱ティッシュを取って 私の方に置いてくれた。 本当に、 優しい実の兄貴みたいだ。 気にもせず鼻をかむ私は 女としても 見られていないだろう。 アルコール以外のものを お腹に入れたら だんだん酔いも冷めて きたみたい。 シンさんの方が 食べ終わるのが早く、 先に箸を置き 彼もティッシュに手を伸ばした。 「・・・(フーン!)。 ・・・お前、ホンマに男っ気 ねえみてぇだけど、 最近どうなん?」 『ズズッ・・・どうって。 どういう意味ですか?』 「アラサー女子にもなって、 付き合ってる奴は いないのかって。」 『シンさんがそんな話振るの 珍しいですね。 あ、もしかして心配して くれてるんですか? 私の事。 結婚願望ないですし 今は仕事があるから、 そういうのは二の次三の次になっちゃうんですよね。』 「ほー。…にしても長い事 いないだろ。」 『そう・・・ですねぇ。 …そんなに気になるんですか?? 私の恋愛事情。』 茶化すように笑って 誤魔化そうとした。 いつも使う手法。 冗談の流れに持って行けば この話題は終了するはず。 なんて… アルコールを含んだ頭でも 癖で無意識のうちにそんな思考が 働いているのだろう。 私の口からは勝手にそんな言葉が 出て来ていた。 「気になる。」 何だ? シンさん、いつになく超真顔。 さっきまで緩い顔してたのに。 しかもこの話の流れで? 酔っぱらっているだけ? …には見えないけれど。 『シンさん、どうか、しました? 今日なんか… いつもと違くないですか?』 「・・・。」
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