***chapter1***R

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表情が読み取れない。 視線を下ろして。 …怒っている様にも 見えなくもない。 いや、悲しい顔か? 何か考えている?のかな。 そんな普段見せない顔されると どうしていいのか 分からないんですけど。 この場に適合する言葉が 見つからず、 私の口角がぎこちなく 力を抜いていく。 「なあ。これって浮気なのか…?」  ん??どういう事?? 『あの、話が全然、 見えないんですけど…。』 「他の女と二人で メシ行ったり飲みに行ったり、 部屋に上がりこんだり してるじゃろ。」 『いや、そんなの 今に始まった事じゃない じゃないですか。』 「それは俺らの場合だろ? ・・・俺さ、最近 信じらんねぇんだ。…美夏の事。」 『・・・何か、あったんですね』 「…あぁ。 ホントは言うつもりじゃ なかったんだが。 この間家帰ったら、 なんか変なんだよな。 隠してるっつーか。うん。 ケータイは肌身離さず 持ち歩いてるし。 俺に対しても今までより、 よそよそしいっつうか。 言いたい事ありそうな感じで。 まあ。それは俺の勘だから そん時はあまり 気にしなかったんだけど。 昨日地元のツレから連絡あって。 美夏が知らない男と 車から降りてきて、 そのまま知らないマンションに入って行った所、見たらしくて。 俺の地元田舎だからよ。 美夏の男友達は ほぼ俺の友達だから、 知らない奴っていねえんだよな …普段なら。 俺のツレも 知らねえっていう奴だから… 気になってさ。」 『…そのこと、美夏さんには 確かめたんですか?』 「ただの友達だって言ってた。 でも、もうそれ以上 聞けなかった。 なんか、崩れそうで。 探りを入れようとする自分も 嫌だったし、美夏が取り繕う所を 見るのも嫌だったし。 あいつがこんなんするの 初めてだからよ。 あの美夏が浮気なんて あり得ねえと思って、 忘れようとしたけど、 …やっぱ無理だわ。 なんつーか もう、分かんねえ…。」 そう話し終え、 テーブルに両肘を付け、 顔の前で祈るような形で 手をクロスさせ、 その手と額で自分の頭部を支える 格好で、動かなくなってしまったシンさん。 『そうだったんですね…。』 「…。」 『…。』
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