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助手席で揺られる車内は ムスクの香りと 某アイドルグループの 何とかちゃん達がやっている ラジオ。 子猫みたいなピンク色の声が 私の黒さを浮き彫りにさせる。 世の男はこういうのに 惹かれるんだろうな。 自分と同じ世界で 同じようにTVで唄って 同じように仕事をこなす 生き物とは思えない。 私はアイドルの部類ではないけれど。 …そのピンク色の要素、 自分に何ミリあるだろうか。 そして車内の香りはいつも、 これから仕事行けって 私に訴える。 無防備では居られない世界にずっといると、何もかもの裏が見えてしまう。 いつからこんなんなっちゃったんだろ…私。
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