***chapter1***R

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「おれも昔、友達も居ない東京に 一人で出てきて、 家でも一人が多かったんじゃ。 そんな時ハルさんが 毎日のように 飲みに連れてってくれた。 勿論毎回奢ってくれたんだけど 奢ってもらえるのが 嬉しかったんじゃなくて、 あの人はその場でいつも 正直に自分の夢を語ってくれた。 だから当時俺も包み隠さず、 どんな事がやりたい、 こんな風になりたいって 言えたんじゃけぇ。 …ハルさんあん時はたぶん ダンス講師のバイトと 夜の工事現場 掛け持ちしてた頃だから 相当金なかったと思うんだよな。 そんな時に ひょっこりこっちに来て グループに入っちまった 何にもない俺に、 勿体無さすぎるくらいの 優しさをくれたんじゃ。 だから俺は ハルさんみたいな 器のデカイ男になりたい。 だからお前ももっと飲め!」 『シンさん…だからの使い方 ちょっと間違ってますし。 あ!すいませんビール ジョッキ追加で。』 結局つられて 飲みまくっちゃう私。 ハルさんの話は 酔うといつも出てくる。 ハルさんは 前シンさんが居た 某グループのダンサーで リーダー兼 芸能事務所の社長さん。 今は何百人っていう社員を 引き連れている会社のトップ。 なおかつ今はダンサーは引退し、 その某グループのプロデューサー。 とにかく凄い人。 歳は50手前らしいけど見た目も心も若い。
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